骨伝導イヤホンのデメリットを調べている人の多くは、買うかどうかで迷っている途中だと思います。よく挙がるのは音漏れ、音質、締め付けの3つです。ただ困るのは、その欠点が全部同じ重さで並んでいて、どれが自分に効いてくるのかがわからない点です。使う場所を変えれば減らせるものと、製品を変えても残るものに分けて並べました。

欠点が多いと聞くと、買うのをやめたほうがいい気もしてきます。
消えるデメリットと消えないデメリット
先に整理しておきます。骨伝導イヤホンの欠点は、使い方で減らせるものと、構造上どうしても残るものに分かれます。
音漏れや振動は、音量と場所しだいでかなり減らせます。一方、低音の弱さやネックバンドの形は、どの製品を買っても付いてきます。
| 気になる点 | 減らせるか | やること |
|---|---|---|
| 音漏れ | 減らせる | 音量を下げる、静かな場所で使わない |
| 振動のむずがゆさ | 減らせる | 音量を60%以下にする |
| 低音の弱さ | 残る | 音楽用は別のイヤホンにする |
| 締め付け | やや減らせる | 軽い製品を選ぶ、試着する |
| 冬服との干渉 | 残る | 分離型を選ぶ |
この分け方で見ると、判断がぐっと早くなります。残るほうの欠点が自分に刺さらなければ、買って困ることは少ないです。
音漏れは静かな場所ほど目立つ
いちばん多く挙がる欠点です。音量を上げるほど本体の振動が強くなり、その振動が空気に伝わってシャカシャカした音が漏れます。
マイベストが17製品を検証した結果でも、音漏れの少なさのスコアは3.00から3.97にとどまりました。多くの製品で、近くの人には聞いている曲がわかるレベルだったと報告されています。
気をつけたいのは、うるさい場所より静かな場所です。図書館、静かなオフィス、混んだ電車ではまわりに届きます。逆に屋外や自宅なら、ほとんど問題になりません。
Shokzのように音漏れを抑える技術を積んだ製品もありますが、ゼロにはなりません。公共の場では音量を絞る、という前提で付き合うほうが現実的です。
低音が弱いので音楽の迫力は出ない
これは製品を変えても残ります。骨伝導は低音を出しにくく、ロックやEDMのような重低音の曲では物足りなく感じます。
各社が音質を上げる技術を入れていますが、カナル型のイヤホンと同じ没入感にはなりません。骨と皮膚を振動させて伝えるという仕組みの限界です。
ただ、これは向いている用途を選べば欠点になりません。ポッドキャスト、ラジオ、オーディオブック、オンライン会議の音声なら中音域が中心なので、むしろ聞き取りやすくなります。
音楽をじっくり聞く用と、ながら聞き用で分けるのが現実的です。1本ですべてをまかなおうとすると、たいてい不満が残ります。
もうひとつ、外の音が聞こえる状態では音楽にも映画にも入り込みにくくなります。これは音質ではなく構造の話なので、高い製品を買っても変わりません。集中して聞きたい時間があるなら、そこは別のイヤホンに任せてください。

音楽用と作業用で分ける、という考え方なんですね。
振動と締め付けは音量を下げると減る
こめかみに当たる振動を、むずがゆいと感じる人がいます。この振動は音量に比例するので、音量を下げれば軽くなります。
骨伝導イヤホンを3年以上使っている利用者のブログでは、音量60%あたりならほとんど気にならず、外がざわついた場所で100%まで上げると振動が大きくなると書かれています。屋内なら音量を上げずに済むので、振動も出にくくなります。
締め付けのほうは音量では変わりません。ネックバンドで頭を挟む形なので、側圧が強いモデルだと頭や耳が痛くなります。頭が大きい人やメガネの人ほど当たりやすい部分です。
買う前に家電量販店で試着させてもらうのが早いです。メガネの人は、メガネをかけたまま着けてみてください。
値段は1万円から バッテリーも短め
お金の面も見ておきます。満足して使える骨伝導イヤホンは、だいたい1万円からが目安です。
数千円の製品もありますが、音質と音漏れ、装着感のどれかで不満が出やすいです。骨伝導と書いてあっても、中身は小型スピーカーだったという報告もあります。
バッテリーも見落としがちです。多くの製品はネックバンドに電池を内蔵していて、充電ケースがありません。完全ワイヤレスなら本体12時間にケース込み36時間という製品もありますが、骨伝導は本体の再生時間がそのまま上限になります。
充電ケーブルが独自のマグネット式という製品もあります。なくすと代わりが利かないので、置き場所を決めておくとラクです。防水性能を上げるためにこの形をとっている製品が多く、USB端子より不便なぶん水には強くなっています。
サイズも見ておいてください。頭の後ろを回る形なので、たたんでもポケットには入りにくく、カバンの中でも場所を取ります。持ち歩く時間が長い人ほど、ここが効いてきます。
マフラーとマスクに引っかかる
意外に効いてくるのがここです。ネックバンド型は、マフラーやパーカーのフードとぶつかります。
冬に首まわりがふくらむと、イヤホンがずれたり、服に引っかかって外れたりします。マスクを外そうとしてイヤホンごと持っていかれることもあります。
頭の後ろを通る形なので、着けたまま仰向けで寝ることもできません。寝るときに音を流したい人には向きません。
この点が気になるなら、左右が分かれた完全ワイヤレス型を選ぶ手があります。ただし運動中のずれにくさは、左右一体型のほうが上です。冬の通勤で使うか、走るときに使うかで、選ぶ形が変わってきます。
もうひとつ、周りがうるさい場所では相手の声とイヤホンの音が重なって、会話しづらくなることがあります。買い物のレジや駅の構内が当てはまります。話しかけられたら再生を止める、という使い方で切り抜けられます。
耳を守るなら音量60%と場所の使い分け
最後に、いちばん大事な話です。鼓膜を通さないから耳に優しい、という理解は正しくありません。
森ノ宮医療大学の記事では、言語聴覚士の中谷謙先生が、骨伝導でも有毛細胞で音を感知することは変わらず、大音量で聞けば聴力低下の恐れは等しくあると話しています。有毛細胞は一度壊れると再生しません。
むしろ骨伝導のほうが音量を上げがちです。周囲の音が聞こえるぶん、騒がしい場所では音楽がかき消され、普段なら使わない音量まで上げてしまいます。
目安は決まっています。WHOなどの指針にある最大音量の60%以下、そして1時間ほどで一度外す。この2つを守れば、ここまで挙げた欠点の大半は小さくなります。

欠点そのものより、どこで使うかで決まる話でした。
ムラサキしん多くの製品をレビューしてきたガジェットライター。資格勉強にiPad+互換ペンを愛用しています。販売店などからリサーチして最新の情報をお伝えするように努力しています。


