骨伝導イヤホンとは?仕組みと向いている使い方

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耳をふさがないイヤホンが増えて、骨伝導という言葉を見かける機会も増えました。骨伝導イヤホンとは、鼓膜ではなく骨を振動させて音を届けるイヤホンです。ただ実際に使うと、音が軽い、思ったより音漏れすると感じる人もいます。仕組みと、向いている場面や向いていない場面を並べました。

トモキさん
トモキさん

骨で音を聞くと、耳が悪くならないのか気になります。

骨を振動させて蝸牛に音を届ける

私たちは鼓膜で音を聞いていると思われがちです。実際に音を受け取っているのは、耳の奥にある蝸牛という器官です。骨伝導は鼓膜を通さず、耳まわりの骨を振動させて蝸牛に音を届けます

普通のイヤホンは空気の振動を鼓膜に伝えます。こちらは空気伝導と呼ばれます。届く先はどちらも同じ蝸牛で、そこまでの道が違うだけです。

骨伝導イヤホンには骨伝導振動子という部品が入っていて、皮膚の上から骨を振動させます。大塚補聴器の説明では、イヤホンは耳の顔側の骨、補聴器は耳の後ろ側の骨を振動させるものが多いとされています。

録音した自分の声が違って聞こえるのも、この仕組みが関係しています。話しているときは、鼓膜からの音と骨からの音が混ざって聞こえているからです。

実は空気伝導もかなり混ざっている

ここが一番知られていない部分です。市販の骨伝導イヤホンは、骨だけで音を伝えているわけではありません

2023年に発表された研究では、振動パッドから漏れた音が開いた耳の穴に入り、鼓膜を揺らす経路のほうが大きく寄与していたと報告されています。その差は最大25デシベルでした。

つまり骨の振動と、耳のすぐそばから出ている小さな音の両方で聞いている状態です。音漏れしやすい理由も、この構造にあります。

2024年には、左右の振動が頭の中でぶつかる干渉についての研究も出ています。骨は頭全体でつながっているため、左の振動が右の蝸牛にも届きます。音の方向や立体感がつかみにくいのは、これが理由だと説明されています。

耳がふさがらないので車の音に気づける

骨伝導イヤホンの利点は音質ではなく、耳をふさがない点にあります。音を聞きながら、車の走行音や人の呼びかけがそのまま耳に入ります

屋外を走るときや、家事をしながら聞くときに向いています。介護やスポーツの現場で使われるのも同じ理由です。

耳の中に何も入らないので蒸れません。カナル型を長く着けていると耳の中が蒸れて、外耳炎の原因になることがあります。骨伝導ならこの心配は減らせます。

耳の穴が小さくてイヤーピースが合わない人にも向いています。サイズ選びで悩まずに済みます。イヤーピースが合っていないと音質まで落ちますが、骨伝導ならその心配もありません。

もうひとつ、耳をふさがない形は運動中に外れにくいという利点もあります。左右一体型が多く、頭の後ろでつながっているためです。マイベストの検証でも、ジャンプしても位置が変わらなかったという報告が並んでいました。

通話のときに自分の声がこもらないのも、耳の穴をふさがないからです。オンライン会議が長い人には効いてきます。

低音は弱い 音楽より通話やラジオ向き

音質を期待して買うと、たいていがっかりします。骨伝導は低音が出しにくく、音が軽く聞こえます

マイベストが2026年7月に骨伝導イヤホン17製品を検証した結果でも、音漏れの少なさのスコアは3.00から3.97にとどまりました。ずれにくさが4.42から4.84だったのと比べると、はっきり低い数字です。

ただ、低音が少ない分だけ中音域は聞き取りやすくなります。同記事を監修したサウンドデザイナーは、音楽鑑賞よりラジオやオーディオブック、通話に向くと述べています。

タイプ 音の伝わり方 得意な場面 音漏れ
骨伝導 骨を振動させる 屋外の運動、通話 しやすい
空気伝導のオープンイヤー 耳の近くから空気で ながら聞き、音楽 骨伝導より少なめ
カナル型 耳をふさいで空気で 音楽、移動中 少ない

見た目が似ているので、買うときに取り違えやすいところです。耳をふさがないイヤホンには空気伝導の製品もあります。パッケージか公式サイトで、どちらの方式かを確かめてください。

シズカさん
シズカさん

形が同じでも、中の方式は別ものなんですね。

鼓膜を通さなくても難聴のリスクはある

鼓膜を通さないから耳を痛めない、という説明を見かけます。これは正確ではありません

ダメージを受けるのは鼓膜ではなく、蝸牛の中の有毛細胞です。いしい医院の医師監修記事では、一度壊れた有毛細胞は通常は再生しないと説明されています。空気伝導でも骨伝導でも、大きすぎる振動が蝸牛に届けば同じことが起きます。

骨伝導のほうが気をつけたい面もあります。耳をふさがないぶん、周りの騒音でイヤホンの音がかき消され、音量を上げてしまいがちです。圧迫感が少ないので、大きな音を聞いている自覚も薄くなります。

耳の聞こえに不安があるときや、耳鳴りや痛みが続くときは、自己判断せずに耳鼻科で相談してください。骨伝導イヤホンは補聴器ではなく、医療機器でもありません。

音量は最大の60%以下が目安

安全に使う目安は数字で示されています。WHOなどの指針では、最大音量の60%以下で聞くことがすすめられています

時間も区切ってください。1時間ほど使ったら一度外して、耳とこめかみを休ませます。締め付けの強いモデルでは、側頭部が張ってくることもあります。

地下鉄のホームのように周りがとても騒がしい場所では、使わないほうがいいです。音量を上げて対抗するのが、いちばん耳に負担をかけます。

静かな場所も向きません。音漏れするので、図書館やカフェ、混んだ電車では音量を絞るか、使うのをやめる判断が要ります。

装着位置も音量に効きます。骨伝導は皮膚に押し当たる位置が少しずれるだけで、聞こえ方が変わります。聞こえにくいと感じたら音量を上げる前に、取扱説明書どおりの位置に着け直してみてください。

もともと骨伝導の仕組みは、まだ完全には解明されていない部分が残っています。大塚補聴器も、振動がどう蝸牛に伝わっているかには議論があると書いています。だからこそ音量は控えめにしておくのが無難です。

迷ったら、スマホの音量を最大の半分あたりで止めておくと安全側です。曲が聞こえにくいと感じたら、音量ではなく場所を変えてください。

買う前に締め付けとメガネを確かめる

最後に確かめてほしいのは、音ではなく着け心地です。こめかみを挟む構造なので、締め付けが合わないと使わなくなります

メガネをかけている人はとくに気をつけてください。ツルとイヤホンのフレームが当たって、片方が浮くことがあります。店頭でメガネをかけたまま試させてもらうのが早いです。

重さも見ておきます。左右一体型は26グラムから35グラムあたりの製品が多く、30グラムを超えると長い時間では気になりやすくなります。

運動で使うなら防水はIPX4以上、汗や雨をしっかり見込むならIPX5以上が目安です。骨伝導イヤホンとは何かがわかったら、あとは使う場面から逆算して選ぶだけです。

トモキさん
トモキさん

走るときと会議のときに使う、という決め方でよさそうです。

この記事を書いた人
ムラサキしん
多くの製品をレビューしてきたガジェットライター。資格勉強にiPad+互換ペンを愛用しています。販売店などからリサーチして最新の情報をお伝えするように努力しています。
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